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2009. 10. 31  
パリに居た間、時間が出来たときに ケブランリー美術館を訪ねた。

エスニック文化に造詣の深いシラク大統領の肝いりで作られたとか。
アフリカ、アジア、アメリカ、オセアニアの民族衣装や装飾品、遺跡など約3500点が展示されている。

ジャン・ヌーブルというガラスを用いることが多い建築家のデザインは外観からして凝っていて、一部は植物の壁

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建物の周りは庭園になっている。IMG_3941.jpg


庭園の芒をすずめがついばんでいたりして。

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中に入ると迫力の展示。


こんなお面や
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こんなお面。

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知らなかったんだが、グリーンランドにも文明ってあったのね。。


これや
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これ
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いやー面白い。

旅で訪れてから大好きなマダガスカルのものも展示。

これちょっとかっこいいけど

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これはちょっと・・・

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総じて面白い。

面白いんだがそれらのモノを作る技術の高さや美しさという点ではいまひとつ。

7世紀に法隆寺を建てた日本文化の緻密さ、美しさはレベルが高いと思った次第。


職人的技術・美しさという視点はフランスに居る間に読んでいた本「北大路魯山人」を参考にしている。


北大路魯山人〈上巻〉 (中公文庫)北大路魯山人〈上巻〉 (中公文庫)
(1997/01)
白崎 秀雄

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これがなかなかどうして素晴らしい本で、作者の筆力・審美眼、魯山人の破天荒な才能・人間性が相まって大変に面白かった。

amazon のレビューが内容に触れられていなかったので要約をしたようなレビューを書いた。


「魯山人の作品の圧倒的な美しさ・雅さがいかに作られていったのか、周囲に居た人たちからの膨大な聞書などによって緻密に再現される。

幼少期、ドジョウを下ろせるかと養父に聞かれ、屋台でしているのを「見る」だけでやり遂げた話。

篆刻を彫る際、近視の魯山人は手元が見えていなかったが誰もが驚くほどの速さで見事に彫り上げる。
「心眼」で見ていた話。

魯山人 全盛期の星岡茶寮(料亭)の豪奢な建物・庭園、斬新で趣向を凝らした調理場や従業員の衣装、芸術にまで昇華させた「料理の美と食器の美」の追求の詳細。

並外れた天才の活躍に胸が躍る。


そしてその才能に反比例するかのような欠損した人間性。

財産目当てに結婚し、金が入らないと罵倒し、殴る。茶寮に来る女中を犯す。 妻が妊娠中に何も言わず朝鮮に渡り帰ってこない。 
茶寮に食事に来た元首相を時間が遅いと追い返して、それを自慢する傲岸さ。


一人の怪物の生い立ちから死に際まで、見事な活写。 
学ぶところ多し。 」



また、東大の総長がアメリカに行く話があって、魯山人に「荷物持ちでよければ同行してよい」と冗談めかして言うと魯山人は激怒し、「お前は偉いといってもたかだか学者だろう。 俺は500年に一度出るかどうかの芸術家だ。 俺の荷物をお前が持つのでないと」 とか言う。


その場に居合わせたら、傲慢過ぎて笑い過ごしたであろうが、時代を経て振り返ると著者も読者も首肯せざるを得ないと思わせる力量。


往生際まで芸術家として生き抜いた魯山人の人生に触れられる名著。

是非読んで欲しい1冊。

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猿谷 学

Author:猿谷 学
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